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東京電力福島第1原発事故の被害者への損害賠償に充てるためPR施設などの売却を検討している東電が、東京・渋谷のPR総合拠点「電力館」を売却しない方針を固めたことが14日、関係者への取材で分かった。電力館は東京の一等地に立地するため多額の売却益が期待されたが、電気事業に必要不可欠な変電設備が地下にあり、売却は困難と判断した。今後はテナントの募集を検討する。電力館は昭和59年、発電の仕組みなどを紹介するパビリオンとして、JR渋谷駅から約600メートル離れた繁華街に建設された。今年3月下旬にリニューアルオープンを予定していたものの東日本大震災で延期され、原発事故による事業の見直しで営業が再開されないまま5月末に閉鎖された。東電は5月、原発事故被害者に賠償金を支払うため、福利厚生施設や有価証券の売却、本業と関連の薄い事業からの撤退などで6千億円以上を捻出する計画を発表。PR施設などを順次閉鎖し、買い手を探していた。しかし、電力館の地下には渋谷一帯をカバーする変電所があるほか、建物が渋谷支社に併設されているため、「電力館の切り売りは難しい」(関係者)と売却を断念した。電力館は保有不動産の中でも資産価値の高い目玉施設で、その扱いが注目されていた。不動産投資関係者によると、電力館は土地と建物合わせて少なくとも二十数億円の価値があるとみられている。
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